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内部統制についてアレコレ 筆者 青野奈々子のひとり言
財務報告に係る内部統制のなぞ〜
「何でエンロン・ワールドコムなの?」
財務報告に係る内部統制の説明は、決まりきったかのように、エンロンやワールドコムの話から始まります。これらの米国の巨大企業における粉飾決算が改革の契機になったからです。
この説明にあまり疑問を感じる方は少ないようですが、よ〜く考えてみていただきたいと思います。エンロンもワールドコムも経営者主導で巨額の決算操作を行いました。これらの粉飾決算は内部統制が有効に機能していたら、防止できたのでしょうか?経営者不正は内部統制の限界だったんじゃなかったでしたっけ?もちろん、企業改革法で経営者の責任が重くなったことは大いに有効な歯止めになっていると思います。けれど、細かい現場業務にわたり、多数のリスクを棚卸しし、内部統制を文書化することと粉飾決算の因果関係はあまり高くないのではないでしょうか・・・?
内部統制、特に、財務報告に係る内部統制の話は非常に抽象的でわかりにくい説明が多くなっています。そのため、つい、解説のペースに巻き込まれ、なんとなく、「すごそう!」とうなずいてしまうものです。けれど、冷静に考えるといろいろな論理矛盾もあります。内部統制論議の中から、そんなこと、発見して、少し違った意味でも「内部統制」を楽しんでみませんか?!
「SOX404条より日本の内部統制監査の方が
会社に優しいって本当?」
米国企業改革法は厳しすぎて、企業に必要以上の負荷をかけたといわれることから、日本版SOX法はより会社に優しい内容にしましょう。と説明されます。確かに、「トップダウン型のリスク重視のアプローチ」が強調され、「内部統制監査と財務諸表監査が同一監査法人により担当」されることは、より合理的な内容になっているとうなずけるところではあります。けれど、「監査法人によるダイレクト・リポーティングの不採用」が果たして、会社にとって、特に経営者にとって有利な方向性であるかどうか、はなはだ疑問であります。
ダイレクト・リポーティングとは、何のことかというと、監査法人は会社とは別に、クライアントの内部統制を直接監査しましょうという制度でありますが、日本の制度では、監査法人はあくまでも経営者がサインした内部統制評価書が妥当であるかどうかについて監査しましょう、内部統制を直接監査することはありませんよとなっているのです。つまり、日本の制度の方が、より経営者の自己責任を問うている内容になっているのです。しかも、ダイレクト・リポーティングを採用しなかったからといって、どのくらい監査法人の監査手続きが少なくなるのでしょうか?経営者の評価書だけを見て「よしよし、よくできていますね」となるはずはないのです。
アメリカの轍を踏まない。という理念が腰砕けにならないよう、ぜひ、会社の皆様、特に経営者の皆様には自社の内部統制について受動的ではなく、能動的に、信念を持って取り組んでいただきたいと思います。
会社法「内部統制システム」のなぞ
会社法及び施行規則に新たにお目見えした内部統制関係と言われる条文は、「内部統制システム」と言ってしまうには違和感がありませんか?どちらかというとコーポレートガバナンス、すなわち企業統治の徹底を要請する条文が多いように感じます。10個の条文を鳥瞰してみると、「取締役会として監督責任を果たすための意思表明をしなさい」と言っているいるんだなあと感じます。私なりに各条文を読み替えると次のようになります。
- コーポレートガバナンスを徹底します!(会社法362条4項6号)
- 取締役の職務執行を監督しやすいように情報を整理整頓させます!(施行規則100条1項1号)
- 受託者責任としてリスクマネジメント体制を構築します。体制を監督します!(同100条1項2号)
- 取締役の職務執行の効率性を確保できる体制を構築します。また、監督します!(同100条1項3号)
- コンプライアンス体制を構築します。また、監督します!(同100条1項4号)
- 企業集団にも内部統制を構築します。また監督します!(同100条1項5号)
- 監査役に補助者をつけます!(同100条3項1号)
- 監査役の補助者の独立性を確保します!(同100条3項2号)
- 監査役への報告体制を整備します!(同100条3項3号)
- その他にも監査役監査の実効性を確保します!(同100条3項4号)
(注;条文番号は取締役会監査役会設置会社用の条文番号にしています)
どうですか?
内部統制というよりは、取締役会として、ガバナンス体制を宣言しなさいと言っていると解釈した方がわかりやすくないですか?そもそも、内部統制について上記のように細かく法文化すること自体、釈然としません。
内部統制は経営者が経営のために構築するもので、誰かに強制されて構築するようなものではないと思うからです。まあ、明文化しないと、なかなか責任が問えないという事情があるのだと思います。確かに多くの企業不祥事は代表訴訟にもならず見逃されているのが実態です。つまり、経営者に責任を取らせるための法文なのですね。会社経営者の皆様は、状況が激変することをしっかり認識していただきたいと思います!!
内部統制は誰のために構築するのでしょうか?
会社は誰のものでしょう??資本の理論だと、株主のもの、ということになります。でも株価の値上がり益を狙って短期的に保有する株主のものと言ってしまうのは少しさびしい気がします。会社はやはり、顧客に代表される多くの会社関係者のためのものであり、そこで働く人々のためのものでもあると考えたいと思います。
そうすると、内部統制システムもやはり、経営者も含む会社関係者のために構築すべきものということになります。つまり、お客様のため、従業員のため、経営者のために内部統制を構築したいものです。
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